琳派って何さ?現代美術家も私淑する江戸時代を一世風靡した日本の古きよきデザイン

最終更新日

琳派は安土桃山時代に誕生した芸術の流派のことです。その歴史は長く、琳派を受け継ぐ画家は昭和期まで活躍していました。この記事では琳派の歴史について、また琳派を代表する作家の中でも特に有名な俵屋宗達・尾形光琳という2人の作家の作品や特徴についてまとめました。日本国内のみならず、海外の芸術家にも多大な影響を与えた琳派についてぜひ触れてみましょう。

琳派とは何か

琳派とは書家の本阿弥光悦と画家の俵屋宗達が興した芸術の流派のことです。安土桃山時代後期から始まり、昭和初期まで続くなど日本の芸術を代表する流派として長く続きました。琳派の作家は書・絵画・工芸など様々なジャンルで活躍し、家系によって継承を行わないという独自のスタイルがありました。琳派の作品で特に有名なのは絵画です。琳派の画家たちが発表した作品は、平安期に発展した大和絵をベースにしています。ただし大和絵の技法をただ継続するのではなく、さらに発展させてデザイン性に富んだオリジナリティを持っているのが特徴です。 琳派の魅力はこれまでのスタイルにとらわれない柔軟な作品作りです。例えば大胆な構図で絵を描いたり、背景に金箔や銀箔を用いたりするなどデザイン性だけでなく装飾性の高さも高く評価されています。その影響力はとても強く、日本国内はもちろんのこと19世紀後半のフランスで興った印象派や象徴主義の作家たちにも衝撃を与えました。特に象徴主義を代表する画家グスタフ・クリムトの代表作『接吻』などには琳派の影響が強く見られます。

俵屋宗達の作品と特徴

俵屋宗達は琳派を代表する画家であり、琳派を起こした人物だと言われています。江戸時代初期に活躍していたようですが、残念ながらその生涯については不明なことが多く正確な生没年もわかっていません。俵屋宗達の代表作として名高いのは『風神雷神図』『源氏物語関屋図』『蓮池水禽図』などです。特に『風神雷神図』は琳派を代表する作品としてもよく知られています。『風神雷神図』と『源氏物語関屋図』などから、俵屋宗達の作品はスケールが大きく装飾性の高いことが特徴だと言えます。その一方で水墨画の作品では日本画の技法「たらしこみ」を効果的に使った繊細な作品も多く残しています。

尾形光琳の作品と特徴

尾形光琳は江戸時代中期の画家で、俵屋宗達と同じく多くの屏風画や水墨画を手がけました。彼の手がけた作品は装飾性が高いことが特徴で、まさに琳派を代表する作家として幅広く知られています。彼の作品を基に「光琳模様」という言葉も生み出されるほど、後世に与えた影響は測り知れません。尾形光琳の代表作として最も有名なのは『紅白梅図』と『燕子花図』でこの2つは国宝に指定されています。尾形光琳作品の多くは植物をモチーフにしていますが、中には俵屋宗達の『風神雷神図』を模写した作品や、支援者の一人だった中村内蔵助をモデルにした『中村内蔵助像』などの人物画もあります。

桃山時代が生んだ芸術流派・琳派の作品に触れてみよう

琳派の作品は「豪華絢爛」という言葉にふさわしいだけでなく、一度見たら忘れられないインパクトが特徴です。平安時代から伝わってきた大和絵を基本にし、それを独自の技法で発展させたセンスや才能は時代を超えて多くの人に愛されています。琳派の作品は国内の美術館で鑑賞できるものが多いので、ぜひ美術館に足を運んでみましょう。

reposters